「ごもっとも」は目上の人に使える?使い方や注意点・言い換え表現を解説

 

仕事での人間関係を円滑にするためには、相手の意見を尊重する「肯定の表現」が欠かせません。中でも「ごもっとも」という言葉は、強い同意を示す際に非常に便利な表現です。一方で、やや堅い響きがあるため、使いすぎると少し威圧感を与えてしまう懸念もあります。本記事では「ごもっとも」のスマートな使い方や、より適切な言い換え表現などについて、例文もあわせてご紹介します。

 

「ごもっとも」の意味

「ごもっとも」は、「道理にかなっていること、その通りだと思われること」という意味の「尤も(もっとも)」に、丁寧さを表す接頭語の「御(ご)」がついた言葉です。相手の意見を肯定し、尊重する気持ちを伝える丁寧な表現です。敬語の分類では「美化語」にあたり、言葉を丁寧に美しく整える役割を持っています。「尤」は常用外漢字のため、ひらがなで「ごもっとも」と表記されるのが一般的です。

単に「その通りだ」と賛成するだけでなく、相手の考えが論理的であり、納得できるものであるという敬意が含まれているのが特徴です。相槌や、相手の指摘を受け入れる際のクッション言葉としても非常に重宝されます。

 

「ごもっとも」の使い方

「ごもっとも」は、相手の意見や指摘を深く肯定し、敬意を払う際に非常に有効な言葉です。丁寧な接頭辞「ご(御)」がついた敬語表現であるため、上司やクライアントといった目上の人に対しても自信を持って使うことができます。

主な活用シーンとしては、相手の提案に同意する場面だけでなく、ミスを指摘された際の受け答えや、相手の要望に応じる際のクッション言葉などが挙げられます。状況に合わせて語尾や形を使い分けることで、より誠実で知的な印象として伝わりやすくなるでしょう。

 

● 相手の意見や指摘を全面的に肯定する場合

相手の発言が理にかなっていると同意する際に「ごもっともです」と伝えます。 また、より丁寧な「ごもっともでございます」を使うと、さらに深い敬意や謝意を込めることができます。
 〈 例文 〉
 □ 部長のご指摘はごもっともでございます。すぐに内容を精査し、修正に取りかかります。
 □ 〇〇様がおっしゃることはごもっともです。その方針で進めるのが最善かと存じます。

 

● 相手の発言を尊重しながら自分の意見も述べる場合

相手の主張を一度しっかりと受け止めつつ、異なる事情や視点を伝えたいときに「ごもっともですが」という形で用います。 これにより、角を立てずに自分の意見を切り出すことができます。
 〈 例文 〉
 □ 効率を優先すべきというお話はごもっともですが、今回は品質維持の観点から慎重に進めさせていただけますでしょうか。
 □ 〇〇様のご懸念はごもっともでございますが、本件につきましては別の解決策も並行して検討しております。

 

● 名詞と組み合わせて評価や理解を示す場合

「ごもっともなご意見」のように名詞の前に置くことで、相手の考えが極めて妥当であることを強調できます。 相手への称賛や共感を示す際に適しています。
 〈 例文 〉
 □ 実現可能性を重視すべきという、ごもっともなご意見をいただきありがとうございます。
 □ 納期短縮のご要望は、ごもっともなお話でございます。社内で調整し、最善を尽くします。

 

「ごもっとも」を使う際の注意点

「ごもっとも」を使う際は、ただ言葉を重ねるのではなく、以下の点に気を配ることで、より円滑なコミュニケーションが実現します。

 

1. 過度な使いすぎに注意する

「ごもっとも」は、言葉自体に重みがあり、やや堅い響きを持つ表現です。そのため、会話の中で何度も繰り返してしまうと、相手に「本当にそう思っているのかな?形式的なお世辞ではないか?」と不信感を与えてしまうおそれがあります。ここぞという場面で効果的に使うよう意識し、日常的な相槌では他の表現と組み合わせるなど、バランスを大切にしましょう。

 

2. 自分の意見や考えもセットで伝える

相手の意見に同意を示すのは素晴らしいことですが、「ごもっともです」とだけ返して会話を終わらせてしまうと、受け身で一方通行な印象を与えかねません。同意した上で、「私はこのように考えております」「その点につきましては、このように対応いたします」と、自分の意見や具体的なアクションを添えることが重要です。そうすることで、主体性を持って仕事に取り組んでいる姿勢が伝わります。

 

3. 本心から同意できる場面で見極める

「ごもっとも」は、相手の主張が「道理にかなっている」と認める強い肯定の言葉です。もし本心では異なる意見を持っているのに、その場しのぎで使ってしまうと、後々のトラブルや誤解を招く原因になります。自分の考えと照らし合わせ、本当に納得した際にのみ使用することで、言葉に誠実さが宿ります。

 

4. 状況や相手に合わせて現代的な表現も検討する

この言葉は非常に丁寧な反面、どこか古風な印象を与えることもあります。スピード感が求められるカジュアルな会議や、親しい間柄でのやり取りでは、少し堅苦しすぎて不自然に聞こえるかもしれません。状況に応じて「おっしゃる通りです」や「ご指摘の通りです」といった、より現代的で柔軟な言い換え表現を選べるよう準備しておくと安心です。

 

「ごもっとも」の類語・言い換え表現

「ごもっとも」という言葉は、非常に丁寧で強い肯定を表しますが、何度も繰り返すと機械的な印象を与えてしまうこともあります。状況に合わせて、より自然で伝わりやすい言い換え表現を使い分けることが、ビジネスコミュニケーションの鍵となります。以下に、使いやすい類語とその具体的な例文をまとめました。

 

● おっしゃる通り

相手の言葉をそのまま肯定する、ビジネスで最も汎用性の高い表現です。「言う」の尊敬語である「おっしゃる」を使うため、目上の人に対して非常にスマートな印象を与えます。
 〈 例文 〉
□ 部長がおっしゃる通り、現在の市場シェアの維持は急務かと存じます。
□ お客様がおっしゃる通り、本サービスは3営業日以内のご入金が必要です。

 

● ご指摘の通り

相手からミスを注意された際や、論理的な不備を突かれた際に、その正当性を認める表現です。単なる同意ではなく「あなたの指摘は的確です」という敬意が含まれます。
 〈 例文 〉
□ ご指摘の通り、今回のデータ分析には一部年齢層の偏りが見受けられます。
□ 人員確保に課題がある点は、まさに課長がご指摘の通りでございます。

 

● 賛成です・同意です

特定の提案やアイディアに対して、自分の立場を明確に示したいときに使います。「ごもっとも」よりも、さらに一歩踏み込んで「私もその案で進めたい」という意思が伝わります。
 〈 例文 〉
□ リモートワークの環境を整備して、生産性を向上させるという案に賛成です。
□ 迅速な意思決定を優先すべきとのご意見には、私も全面的に同意いたします。

 

「ごもっとも」の使い方や、より適切な言い換え表現などについて、例文もあわせてご紹介しました。「ごもっとも」は、相手の意見を尊重し、深い敬意を持って賛同を伝えることができる素晴らしい言葉です。ビジネスシーンにおいて、上司や取引先との信頼関係を築くための「会話の潤滑油」として非常に効果を発揮します。ただし、形式的な同意に見えないよう、使いすぎには注意しつつ、自分の意見も添えることでより双方向なコミュニケーションが生まれます。類語や言い換え表現など状況に応じた最適な言葉選びを心がけ、誠実さが伝わるスマートな振る舞いを目指しましょう。