2026年 脱VPNが加速、企業ネットワークはどこへ向かうのか?

働き方の変化、サイバー攻撃の高度化、クラウド活用の前提化 ── これらが重なったことで、VPNは限界を迎え、ゼロトラストやZTNA(ゼロトラスト ネットワーク アクセス)への移行が加速しています。近年、国内外で「脱VPN」のトレンドが急速に広がっています。 働き方の変化やサイバー攻撃の高度化、さらにはクラウド活用の必要性が重なり、VPNの限界が顕在化しています。今回はこのトレンドの背景や企業が直面する課題、そして解決策について詳しく解説します。

 

なぜ「脱VPN」が必要なのか

VPN(Virtual Private Network:仮想専用線)とは、インターネット上に暗号化された専用の通信経路を作り、外部から安全に通信を行う技術です。
特に、社外から社内ネットワークへのアクセスや拠点間の安全な通信が求められる状況で、情報漏えいや不正アクセスを防ぐ基本的な技術である一方、近年はその限界が指摘されています。

● VPNの構造的課題
一度接続すると広範囲な社内ネットワークにアクセス可能になるため、攻撃者に侵入されると被害が拡大しやすい。
接続増加時のスケーラビリティ問題や通信遅延がテレワーク・クラウド利用時代のボトルネックに。

● 攻撃リスクの増加
近年、VPNをターゲットにした脆弱性が急増。2024年の新規脆弱性の60%が「高」または「致命的」と評価されています。

● クラウド利用前提とのミスマッチ
Microsoft 365 や Google Workspace のような SaaS利用が標準化する中、VPN経由の接続は遅延や帯域圧迫を招き、可視化が難しいという問題があります。

 

2025〜2026年の最新トレンド

Gartnerの調査によれば、世界中の企業は以下の3つの分野に力を入れています。

● ネットワークセキュリティ(SASE、ZTNA)
社外からのアクセスやクラウド利用が当たり前の時代に対応するため、安全にどこからでもつながる仕組みが求められています。

● ID/アクセス管理(MFAなど)
「誰がアクセスしているのか」を厳密に確認するため、多要素認証(MFA)が必須となっています。

● 特権アクセス管理
重要データや管理者権限を持つ人のログインを厳しく管理し、内部不正や侵入に備える動きが加速。

 

脱VPN後の選択肢 ZTNAとSASE

VPNの限界が明らかになる中、「脱VPN」という流れが企業ネットワークの変革を促しています。ここでは、その後の選択肢として注目されているZTNA(Zero Trust Network Access)とSASE(Secure Access Service Edge)についてご紹介します。

 

ZTNA | Zero Trust Network Access

ZTNAは、ゼロトラストの考え方に基づき、必要なアプリケーションにだけアクセスを許可する仕組みです。
不要なルートは自動でブロックされるため、攻撃者がネットワークに侵入してもその被害を拡大させない特徴があります。

〈 細かなアクセス制御 〉
ZTNAは「最小権限の原則」を実現します。ユーザーは職務に必要なアプリケーションへのみにアクセス可能です。
これにより、不必要に広範囲なアクセスを制限し、セキュリティを強化します。

〈 クラウドとの高親和性 〉
クラウドサービスとの連携が容易であり、企業がクラウドファースト戦略を採用する上で最適です。
これにより、クラウド利用の円滑さとセキュリティが同時に実現できます。

 

SASE | Secure Access Service Edge

SASEは、ネットワークインフラとセキュリティ機能をクラウドで統合して提供するアプローチです。
これにより、拠点、モバイル、在宅勤務者など、あらゆる場所から安全にアクセス可能になります。

〈 クラウドベースの統合 〉
ネットワークとセキュリティが一体化され、どこからでも安全な通信が可能です。
特に、多拠点やリモートワークが一般的な企業にとって、管理が簡素化されます。

〈 柔軟なスケーラビリティ 〉
利用者の増加や拠点の増加にも柔軟に対応できる設計がなされています。
これはVPNのスケールの限界を解消しつつ、高性能なネットワークを維持するための重要な利点です。

 

企業がZTNAとSASEを選ぶ理由

通信速度と業務効率の向上: 両者は通信の最適化と高速化を実現し、業務の効率化に寄与します。
ランサムウェアリスクの低減: セキュリティの強化により、ランサムウェアなどのサイバー脅威に対する耐性が高まります。
クラウドサービスとの自然な連携: SaaSやクラウドアプリとの連携性が高く、企業のクラウド活用をサポートします。
IDベースの制御: ユーザーとデバイスごとに最適な制御が可能で、ネットワーク全体の安全性が向上します。


ZTNAとSASEは、ゼロトラストモデルを基盤にしたセキュリティフレームワークで、企業のデジタルトランスフォーメーションを支える選択肢として注目されています。企業はこれらの技術を活用することで、次世代のネットワークセキュリティを築き、セキュアで効率的な業務環境を実現していくことが求められています。

 

脱VPNを進める企業が考えるべき5つのステップ

VPNに依存しない新しいネットワークセキュリティ対策を構築することは、企業のセキュリティ強化や業務効率化に直結します。以下に、脱VPNを進める際の重要な5つのステップを紹介します。

1. 現状の可視化
まずは現在のネットワーク状況を詳細に把握します。具体的には、「誰がどのアプリケーションにアクセスしているのか」「どのような経路でデータが流れているのか」を整理することから始めます。このプロセスによって、改善すべき点やリスクを洗い出すことができます。

2. ID基盤の整備(SSO/MFA)
次に、シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)を導入して、安全で便利なログイン体制を整えます。SSOにより一度のログインで複数のサービスを利用可能にし、MFAによって追加の認証手段を用意することで、セキュリティを強化します。

3. アクセス制御ポリシーの設計
「誰がどのアプリケーションを使えるか」を具体的に定めたアクセス制御ポリシーを策定します。この段階では、最小権限の原則に基づき、各ユーザーに本当に必要なアクセス権のみを与えることが重要です。

4. VPNと併用しつつ段階的に移行
一気にシステムを切り替えるのではなく、VPNと新たなセキュリティフレームワーク(例えばZTNAやSASE)を併用しつつ、徐々に移行します。段階的な移行は、リスクを最小限に抑えながら新しいシステム環境に慣れていくことを可能にします。

5. ログの可視化・監視を強化し、継続的改善
最後に、アクセス履歴の見える化と監視体制の強化を行います。これにより、ネットワークの安全性を確保しつつ、継続的に改善を進めることができます。ログを分析することで、潜在的な問題や改善ポイントを早期に特定することができます。

これらのステップを踏むことによって、安全で効率的なネットワーク環境へと移行し、次世代のITインフラを構築することが可能になります。

 

福島リコピーでは、企業のネットワーク環境の現状分析から新たなシステムの設計、移行を一貫してサポートし、お客様のビジネスを安全かつスムーズに進化させるお手伝いをいたします。まずはお気軽にご相談ください。