ビジネスマナー 基本ルールのおさらい【 あいさつ編 】

新年度はあいさつする機会が増える時期ですが、初めてあいさつをする場面で第一印象を損なわないよう、あいさつの基本マナーをおさらいをしてみてはいかがでしょうか。基本マナーを押さえて、印象に残る気持ちが伝わるあいさつをのポイントをご紹介します。

 

1: あいさつの基本

● あいさつは自分からしましょう
あいさつには「今日は(も)よろしくお願いします」や「あなたを見つけました」、「あなたに会えてうれしいです」といった意味合いがあります。相手との良好な関係を築くために欠かせない意思表示ともいえるため「相手があいさつをしないから、自分もしなくていい」と思ったり、相手のあいさつを受けてから、あいさつを返すということはせずに、できるだけ自分からあいさつするように心がけましょう。自分から進んで明るく気持ちのよいあいさつをしていると、その場の雰囲気もいい状態を作り出せるため、相手と良好な関係を築くことに繋がります。

● 語先後礼のマナーを使い分ける
あいさつの動作で「語先後礼(ごせん ごれい)」というマナーがあります。あいさつの言葉を先に発してから、その後にお辞儀(礼)をする動作のことをいいます。

例)「おはようございます」とあいさつする場合
1. 相手の目をみて「おはようございます」と言います。
2. 言い終わってから、お辞儀(礼)をします。

 

あいさつの言葉とお辞儀を同時におこなう「同時礼」より、丁寧な印象を受けるため正式なあいさつの動作といわれています。あいさつでの印象は、その後の関係性に影響することもありますので気をつけたいところですが、いつでも、だれにでも、必ず語先後礼であいさつしなければいけない、ということではありません。相手との関係性や、人によっては、語先後礼であいさつされるとかしこまり過ぎて堅苦しいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。語先後礼と同時礼は、臨機応変に使い分けてもよいと思います。


2: お辞儀の種類

お辞儀には立ってする立礼と、座ってする座礼の2種類があります。立礼は礼の深さによって大きく分けて「会釈」「中礼」「最敬礼」の3つの種類があります。場所や状況によって使い分ける必要があります。3つのお辞儀の違いと使用場面の例を紹介します。

● 軽いお辞儀 | 会釈
会釈(えしゃく)は最も軽いお辞儀です。背筋を伸ばし、腰から上半身を前方へ15度ほど傾けて行う軽い一礼です。目線は自分の足元から1.5mほど先に向けるようにすると自然です。首を少し傾ける程度では会釈とはいえず、雑な印象になってしまうので注意しましょう。社内で人とすれ違うときや、遠くにいる相手と目が合ったとき、会議室や応接室への入退室のとき、来客訪問時のお茶出しのときなどに使います。

● 一般的なお辞儀 | 敬礼
敬礼は、中礼や普通礼ともいわれており、最も使用頻度の高いお辞儀です。一般に「お辞儀」というときは中礼を指すことが多いでしょう。 姿勢を正し、腰から上半身を前方へ30度ほど傾けて行います。目線は自分の足元から50~60センチ先を見ます。「語先後礼」を意識して丁寧にするようにしましょう。お客さまの応対のとき、目上の人や取引先、顧客とのあいさつ、訪問客へのお迎え・お見送り、打ち合わせ終了後など、あらゆる場面で使用します。

● 最も丁寧なお辞儀 | 最敬礼
最敬礼は、丁寧礼ともいわれており、最も丁寧なお辞儀といわれています。姿勢を正し、腰から上半身を前方へ45度ほど傾け、深々と頭を下げてお辞儀します。目線は自分の足元に落とし、通常よりゆっくりめに起き上がります。お詫びや感謝、冠婚葬祭などで使用します。深々と頭を下げて行うお辞儀を何度も行うと相手に違和感を与えたり、イメージが悪くなる可能性もありますので、注意が必要です。

3: あいさつ上手になるポイント


● ポイント 1: 相手の名前もプラスしてあいさつする
人はきちんと名前を呼ばれることで、自分のことを知ってもらえている、認められていると思えて、相手への好感度に変化が起き、相手との距離を縮めるといわれています。このネームコーリング効果という心理効果を活用し、あいさつにプラスして相手の名前を呼ぶことで、ただあいさつされるより、印象が良くなることがあります。
ただ「おはようございます」というより「○○さん、おはようございます」、ただ「お疲れ様です」というより「○○さん、お疲れ様です」とあいさつすると、自分に向けられたあいさつという特別な感じがあり好意的な印象を受けます。かんたんに始められるので、おすすめです。


● ポイント 2: しっかりと目を見て笑顔であいさつをする
緊張してしまうから相手の目を見ることができない、苦手などの理由で、目を合わせずにあいさつをする方がいらっしゃいますが、少しでもいいので目を合わせることが大切です。目が合わないと「いやなのかな?」「やりたくないのかな?」と消極的で否定的な印象や、自信がないなどのマイナスな印象を与えてしまいます。
目を合わせてあいさつすると、安心感や信頼感があり、好意を持ってもらいやすくなります。視線が合う回数が多いほど好感度が上がるともいわれています。また、しっかりと目を見て笑顔であいさつすると、相手の記憶に残りやすいともいわれています。笑顔が苦手という方は、口角をキュッと上げるイメージを意識するだけでも顔の印象は変わりますので、鏡でベストな笑顔を確認してみるのもよいと思います。


● ポイント 3: 臨機応変なあいさつをする
あいさつの基本は「明るくはっきりとした声でする」という考えがありますが、状況に応じて声のトーンやボリュームは気をつけましょう。静かな場所で思ったよりも大きな声であいさつしてしまい周りに迷惑をかけてしまうなど、初対面でのあいさつで違和感や不快感を与えてしまうことのないよう、心地よいあいさつを心がけましょう。


● ポイント 4: あいさつの後に一言を添える
相手を気遣う一言を添えたあいさつは、相手に良い印象を持ってもらえます。「おはようございます」よりも「おはようございます。昨日はフォローありがとうございました」や、「お世話になっております」より「お世話になっております。雨の日にお呼び立てしてしまい大変恐縮です」などとあいさつすると、相手への感謝や労いの気持ちがより伝えることができます。

 


 

あいさつの基本マナーをご紹介しました。相手や状況によって使い方が異なることもありますが、あいさつひとつで相手に好印象を与えることも、その逆もできてしまうため、あいさつは非常に重要です。社内外で出会うすべての人に対して、よい印象が残る、気持ちが伝わるあいさつができるよう心がけましょう。