いよいよカウントダウン!今やるべきインボイス制度への備え

登録申請手続き後にやるべきこと

2023年10月1日から消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートします。インボイス発行事業者になる場合は、登録申請手続きを行う必要がありますが、その内容や対応準備については2022年12月の本ブログで詳しく触れていますので、そちらを参考にしてください。 ここでは、インボイス発行事業者の登録申請手続きを終え、登録番号が発行された事業所の方々に対し、制度がスタートする前後に取り組むべき準備について、その概要を紹介します。

インボイス制度開始前の主なポイント

1 適格請求書発行事業者の登録を済ませる

登録申請書の提出期限は2023年9月30日までですが、登録番号が発行されるまである程度の期間が必要となります。もし、まだ登録を済ませていない場合は、遅くとも今年7月ごろまでには登録申請を済ませておきましょう。

 

2 取引先の登録申請状況の確認と情報共有を行う

取引先の事業形態はさまざまです。会社組織だけでなく個人経営の取引先も考えられるため、相手が免税事業者の場合は、適格請求書発行事業者になる予定なのかを前もって確認しておく必要があります。その際、自社の登録番号を知らせておくとよいでしょう。取引先が登録を受けずにインボイスを発行できない場合は、これまでの仕入税額控除ができなくなり自社の税負担が増えることから、今後の取り引きを見直すなどの検討が必要になります。

 

3 従業員へインボイス制度の周知徹底を図る

事業所内の部署の中で、インボイス制度への対応が最も必要なのは経理部門ですが、従業員一人ひとりの経費精算もインボイス制度と深く関わってきます。従業員が提出する領収書もインボイスの要件を満たす必要があるからです。制度の周知徹底を図るために、説明会や勉強会などの開催をおすすめします。

 

4 インボイス制度に対応したシステムを導入する

インボイス制度が導入されると税率計算が複雑化し、また、追加項目への対応が必要になるなど、事業所の規模を問わず経理業務の負担が増えることは間違いありません。そのため適格請求書が発行できる作成ソフト、消費税区分に対応した会計ソフトのほか、適格請求書の保存サービスなどを前もって準備しておく必要があります。

インボイス制度開始後の主なポイント

1 適格請求書の発行と控えの保存について

適格請求書の発行側である「売り手」と、受け取り側である「買い手」に分けて説明します。売り手は、発行した適格請求書の写しの保存方法を選択します。写しの保存はコピーだけでなく、電子データや一覧表形式、ジャーナル、複写式の控えなども認められます。

買い手は、受け取った適格請求書等をどのように保存・管理するかを選択します。紙で受け取った場合は紙保存、もしくは、電子帳簿保存法のスキャナ・スマホ保存にするかを判断します。また、電子データで受け取った場合は、電子帳簿保存法の方式に則って保存しなければなりません。

請求書は電子帳簿保存法の対象書類であることから、電子インボイスを導入するケースが増えることが予想されます。売り手と買い手の双方で「紙」にするのか「電子データ」にするのかなど、適格請求書等の様式や受け渡し方法について調整しておく必要があります。

 

2 登録番号を確認する

売り手から適格請求書を受け取ったら、そこに記されている登録番号を確認します。記されている番号が正式な登録番号なのか、また、その登録番号が取引時点において有効なのかどうか、照合を行う必要があります。インボイスの登録事業者の確認には、国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。

https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html

 

3 消費税の税区分を確認する

登録番号が確認できたら、「税率ごとに区分した消費税額」と「適用税率」が記載されているかを確認します。万が一、記載に不備・不足があった場合は、売り手に再発行を依頼します。

 

4 受け取った適格請求書を保存する

売り手から受け取った適格請求書は、原則として7年間保存しなければなりません。電子インボイスの場合は電子データのままの保存も可能です。その際、電子帳簿保存法に則った保存と管理が必要になります。