電気料金値上げの波。オフィスで取り組む節電対策

~働き方改革にもつながる節電への取り組み。脱炭素社会の実現を目指して~

●国際的な燃料価格の高止まりが続く

昨今の度重なるエネルギーコストの上昇は、家庭や企業に大きな影響を及ぼしています。今後もエネルギーのさらなる値上げがアナウンスされるなど、暮らしや経済活動を取り巻く不安要素が山積しています。経済産業省の発表によると、国際的な燃料価格が引き続き高い水準で推移する中、燃料を取り巻く情勢は予断を許さない状況で、2022年度冬季の国内の電力需給は依然として厳しい状況にあります。国や電力会社が電力の安定供給に取り組む中で、事業者に対しては無理のない範囲での節電を呼びかけています。

●オフィスビルの電力消費の傾向

事業所の業種・業態によって電力消費の特徴やパターンに違いがありますが、ここでは一般的なオフィスビルを事例に、冬季における電力消費の動向について紹介します。オフィスビルの電力消費は日中9:00~18:00ごろを中心に高くなる傾向があり、消費電力のうち空調が33.5%、照明が29.8%を占めます。双方をあわせると約63%を占めるため、空調と照明に重点を置いた節電対策が有効であることがわかります。

■電力消費の内訳(冬季の1日間)

空調 33.5%
照明 29.8%
エレベーター等 9.5%
複合機 9.5%
その他 9.1%
パソコン 8.6%
(※経済産業省『冬季の省エネ・節電メニュー ~本州・四国・九州~』パンフレットより)

●オフィスの節電対策事例 ~種別ごとの基本アクション~

【1】空調

エアコンの設定温度を適正化するために、夏の冷房時の室温は28℃、冬の暖房時の室温は20℃を目安にします。必要に応じて扇風機やサーキュレーターを活用して冷暖房効率を高めたり、使用していないエリアの空調は停止するよう心がけます。定期的なフィルター掃除も節電に有効です。

【2】照明

できるだけ点灯時間を短縮するために、使わないときは消すのが基本です。廊下や会議室など使用していないエリアや、昼休み時間帯などは消灯を心がけてください。また、照明器具の照度(明るさ)を見直す、可能な範囲で使用する照明の数を減らす(間引きする)、消費電力の少ないLED照明に切り替える、人感センサーを取り付けるなども効果的です。ちなみに、従来型蛍光灯から直管型LED照明に交換した場合、約50%消費電力を削減するとされています。

【3】OA機器

外出などで長い間席を外すときはOA機器の電源を切り、未使用機器はコンセントから抜きます。デスクでの作業に欠かせないパソコンなどは、差し支えない程度でディスプレイの明るさを落としたり、スリープモードを活用します。また、リープモードを搭載したプリンターなど大型のOA機器の節電効果は大きいため、積極的に活用しましょう。オフィスにはOA機器以外にも電化製品がありますが、例えば電気式給湯器や電気ポットの設定温度を見直したり、可能な範囲でコンセントから抜きましょう。温水洗浄便座は可能な範囲で温度設定を下げ、使わないときはフタを閉めるよう心がけます。

【4】その他

夏季はクールビズ、冬季はウォームビズなど服装の面から節電に取り組むほか、事業所全体としては稼働日や就業時間の見直しも一考です。例えば、残業などで夜遅くまで会社にいると、少人数にも関わらず広いオフィスの冷暖房が必要になり、無駄な電力消費につながります。サマータイムの導入など、季節に応じて就業時間をシフトすることも節電対策の一環で、ひいては働き方改革にもつながります。

以上、家庭でも企業でも節電につながる基本アクションは多様で、日常生活の工夫次第で節電に貢献できることがわかりました。一つひとつの小さな積み重ねが脱炭素社会の実現につながることを念頭に、事業所全体で節電に取り組んでください。