「失念しておりました」とは?使い方と例文、注意点を解説

 

ビジネスシーンで「失念しておりました」という言葉を耳にしたことはありますか。自分のうっかりミスを丁寧に謝罪する際の表現ですが、使い方によっては相手に不信感を与えてしまうこともあります。この記事では「失念しておりました」の意味や使い方、注意点など例文を交えて解説します。さらに「失念しておりました」と相手から言われたときの返答方法もご紹介します。

 

「失念しておりました」とは

「失念しておりました」は、「失念」に「○○しておりました」という丁寧語を組み合わせた表現です。「失念」とは「念(心に留めておくこと)」を「失(なくす)」、つまり「うっかり忘れる」という意味の謙譲語です。「失念しておりました」は、一言でいうと「忘れていました」を丁寧に表現した言葉で、自分のミスを謝罪する際に使われます。

単に「忘れていました」と言うと、軽い印象を与えてしまうことがありますが「失念しておりました」を使うことで、自分がやるべきことをうっかり忘れていたという過失を認めつつ、相手に敬意を払いながら、丁寧に謝罪の気持ちを伝えるという誠実な姿勢を示すことができます。

 

「失念しておりました」を使うときの注意点

「失念しておりました」をビジネスシーンで使う際は、以下の2つの点に注意が必要です。

 

使う相手に注意する

「失念しておりました」は、あくまでも「自分が忘れたこと」に対して使う言葉です。上司や取引先、同僚などが、何かを忘れていた場合に「A様が明日の会議を失念されていたようです」というように、他人の行動に使うのは失礼にあたります。

伝え方に注意する

「失念しておりました」と伝えた後は、この言葉だけで済ませず、必ず謝罪の言葉と今後の対応をセットで伝えましょう。その後の行動を具体的に伝え、誠実な姿勢を見せることが重要です。単に謝るだけでなく、問題解決への意欲を示すことで、反省の意が伝わり、信頼を損なうのを防げます。

 

「失念しておりました」の使い方・例文

何かを忘れてしまったとき「失念しておりました」という言葉は、丁寧かつ誠実な印象を与えるために役立ちます。単に「忘れていました」と言うよりも丁寧で、相手への配慮を示すことができます。以下に「失念しておりました」を使った具体的な例文を、シーン別にご紹介します。

 

● 業務やタスクの対応を忘れていた場合

上司への報告や取引先へのメール返信、社内チームへの共有など、自身の業務やタスクを忘れてしまった場合に「失念しておりました」という表現を使用できます。

〈 例文 〉

 

● 会議や打ち合わせの予定を忘れていた場合

スケジュールの確認や参加を忘れてしまったり、訪問日を間違えてしまった場合に「失念しておりました」という表現を使用できます。

〈 例文 〉

 

● 忘れ物をしてしまった場合

プレゼン資料や請求書の送付、お借りしていた備品の返却などを忘れてしまった場合に「失念しておりました」という表現を使用できます。

〈 例文 〉

 

「失念しておりました」と相手から言われたときの返答方法

取引先や同僚から「失念しておりました」と謝罪された場合、相手の気持ちに寄り添いつつも、スムーズに問題を解決することが大切です。
主な返答のパターンは以下の3つです。

 

● 相手を気遣う返答

相手が申し訳ない気持ちでいることを理解し、相手を気遣う一言を添えて返答することで、相手の不安を和らげます。

〈 例文 〉

 

● 協力を申し出る返答

解決に向けて協力する姿勢を見せることで、相手との信頼関係を深めます。

〈 例文 〉

 

● 再確認を依頼する返答

忘れていた内容について、改めて確認を促します。具体的なアクションが必要な場合には重要な返答です。

〈 例文 〉

 

「失念しておりました」は、自分が何かをうっかり忘れてしまったことを丁寧に伝える謙譲語です。単なる「忘れました」よりも誠実さや反省の気持ちを伝えられるため、ビジネスシーンで非常に役立ちます。 この言葉を使う際は、自分の過失にのみ使えること、そして謝罪や今後の対応をセットで伝えることが重要です。そうすることで、相手との信頼関係を維持し、円滑なコミュニケーションを図ることができます。また、状況や相手との関係性に応じて「うっかりしておりました」といった、より柔らかい表現と使い分けることも効果的です。言葉遣いを意識することで、ビジネスにおける印象は大きく変わります。意味や使い方をしっかり知ったうえで、相手への配慮を忘れずに活用していきましょう。